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なぜ【IKEA家具引越難民】問題が生まれたのか?

2018年の繁忙期(2~4月の引越しシーズン)より使われ始めた【引越し難民】問題ですが、それ以前の2017年くらいからTwitterなどに『IKEA家具の引越し断られた』投稿が増え始め、断られた理由や引越業者の営業さんから言われた言葉などがSNSに氾濫してきました。

総じてネガティブなものばかりで、その投稿に対して『IKEA家具なんて買うほうがおかしい』などの炎上がいたるところで起き、【IKEA家具は引越しの事を考えたら買わないほうがいい】などと欧米企業から訴訟起こされたらどうするんだろうと思うような意見まで言われはじめました。

ライフスタイルの変化によって、今まで多かった完成品の家具を作るメーカーさんよりもセルフ組立式の家具を作るメーカーが増加し(2006年のIKEA再上陸も流れを作ったきっかけの1つ)通販で売られている家具はほぼ組立式です。

SNSが普及し、あぶりだされてきたIKEA家具をはじめとする組立家具の引越し問題、ここではあえて【IKEA家具引越し難民】問題として取り上げ、解決策と共にご説明していきたいと思います。

引越業者さんが運んでくれる家具と運んでくれない家具

引越業者さんが運んでくれるかの判断基準とは

「IKEA家具であるかどうか」という以前に、「運搬に適しているかどうか?」という共通の基準というものは各引越業者の中にあります。
逆に、IKEA家具であってもその基準を満たしていれば運んでもらえるはずです。

そもそも引越業者さんの訪問見積もり時にお客様からの申告がなければ確実にIKEA家具であるかの判断もつかない場合もあります。

【IKEA家具引越し難民】が問題となっているのは、「IKEA家具はNG!」と何の解決策も提示されないまま断られるためです。
では、本当にNGなのでしょうか?

家具のサイズ

引越時に「その家具が運べるかどうか」を決定する一番の基準は家具のサイズです。
これは後ほど触れる搬出入導線にも関わってきますが、トラックの大きさ(2tトラックと4tトラックでは積載部分の天井の高さも大きく異なってきます)や1名で運び出せるか、2名で運ぶ必要があるかなど、ほとんどの引っ越しにおいて検討する必要がある条件になります。

この点は、通常の家具であってもIKEA家具であっても変わりません。

搬出入導線

IKEA家具の日本におけるネックになる部分に搬入導線があるのか?

例えば、玄関の大きさや、各部屋の間口から廊下幅、マンションであればエレベータのサイズ、一軒家であれば階段の広さまで。
それも搬出地のみならず搬入地の条件も重なってきます。

一般的に各部屋の間口サイズは、高さ約200cm×幅約80cm-扉の出ている部分(扉は外す場合もあります)となりますので、加えて部屋から出た廊下の幅も関わってきますので、それを大幅に超えているサイズの家具は部屋から出すことが難しくなります。

逆に導線を通るサイズであれば、運び出せる可能性はあるということです。
搬入導線も通常の家具でも考慮しなければならないので、これも「難民」が生まれる決定的な理由にはなりません。

構造

引越業者さんがIKEA家具を断る一番の理由(つまりこの問題によって難民が生まれる)が、「IKEA家具の構造」です。

【解体動画】IKEA MANDAL収納ベッド 最効率 解体まとめ

【動画で説明】IKEA家具の基本『カムロック』について

引越業者さん的には『IKEA家具は完成形で運ぶと壊れる』というトラウマがあるようで(実際に過去破損事故などがあるとのことです)できれば解体した状態のパーツを運んだほうがリスクが低いと考えられるようです。

その場合、「解体作業」と「再み立作業」が発生しますが、この作業を引越業者さんで請け負うことはできないというのが根本的な問題です。

逆に、『解体はお客様でしていただければ運びますよ』という場合もあります。
しかし、『うちでは運べません』(実際にカグッコシ!に依頼が来たお客様いわく)の一点張りの業者も多々あり、その業者に対応された方がネガティブな印象をSNS等で発信する(往々にして、ネガティブな内容ほど早く広がります。)という循環になっています。

それを見た人が【引越業者=IKEA断る】のイメージに繋がっているのではないでしょうか。

日本と欧米では生活スタイルに違いがある?

海外では引越しで家具を持っていく習慣がないという謎説

よく言われているのが
『日本人は引越しで家具を持っていく』
『外国には引越しで家具を持っていくという習慣がない』
という説。

この説を主張される方は、「スウェーデン発祥のIKEAでは、そもそも引越しで家具を持っていく文化がないから、引越しを想定して作っていない。だから、引越しに向いていないし、保証もない」という話をされます。

ですが、実際に海外引越を専門にしている引越業者さんとお話しすると、
『カグッコシ!さんって解体だけでも受けてもらえるんですか?』と聞かれます。
解体だけでも解体されたものの再組立だけでもお伺いできる旨をお伝えすると、『海外に送る荷物でIKEA家具が多くあって解体で困っているんです』とおっしゃるんです。

理由を聞くと、日本で生活をしていて海外に帰る方(日本人から見て外国の方)は。、本国にIKEA家具を持って帰るのが普通らしいんです。

モノを大切にするなどいろいろな理由がありますが、海外では日本と住宅の間口なども大きさが異なってくるので、あの大きなIKEA家具が解体せずにそのまま運び出せることも多いとのこと。
IKEA家具だから引越しで持っていく持っていかないという訳では決してなく、ましてや引越しで家具を持っていかない何てことは全く無いそうです。

そもそも、海外の文化は重要なことではない

そもそも論ですが、「海外では引越しでIKEA家具を持っていくかどうか」は重要ではありません。

実際に、今困っている人がいて、その問題をどうすれば解決できるか?が必要な論点です。
海外と日本では【引越しを生業としている人間が依頼者の荷物を運ぶ】という部分以外、生活様式、家屋のサイズなどが全く異なるので、同じ土俵に並べて比較していること自体が無意味であると感じます。

つまり、引越難民問題に対して、「そもそも想定していないから買う方がダメ」というのは、全く意味の無い争点です。

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IKEA家具をはじめ組立家具の多くはノックダウン式

ノックダウン式とは

なんか急にボクシングの話を始めたぞ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ボクシングの話ではありません。

家具でいうノックダウン式とは、パーツにわかれた材料を現地にて組み上げて商品化し設置する方式のことを言います。
組立家具と言われるものは、ほとんどがノックダウン式です。
オフィスなどに設置されているスチールの収納キャビネットの中にも一部ノックダウン式のものもあります。

IKEA家具は完全組立、国産家具は半完成品が多い

ノックダウン式の中でもパーツにあらかじめ組みこむことのできる部品を取り付けて現地での負担を減らすものは半完成品、IKEA家具の場合はほぼ全てのパーツが現地取り付けになります。

完全組立のメリット/デメリット

IKEA家具のような完全組立式の場合、パーツはほとんど板状での出荷となりますので、運送費/倉庫での保管費の大幅削減、工場での工程が減りますので商品価格への反映というところもメリットと言えるでしょう。

また1梱包が小さくまとまることから、部屋の間口などを気にすることなく設置場所にさえ収まれば、壁面を覆うような大型収納の設置も可能です。

反対にデメリットとしては、商品価格が下がった分はセルフという部分に上乗せされますので、購入者の自己負担が増加(配送や組立)することに加え、組立家具の長期使用にとって一番大きく影響する【誰がどのように組立てたのか?】の責任所在が寿命を左右します。

また大型家具の場合、完成品が部屋の間口より大きくなることも多く、引越し時そのままで運べないために引越業者さんが取り扱いを躊躇することでユーザーさんに跳ね返ってくるという【IKEA家具引越し難民】問題につながってしまいます。

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IKEA家具はグローバル仕様、国産家具は日本仕様

サイズの違い

IKEA家具はスウェーデン発祥のメーカーです。
家具の多くは各国にローカライズされているというよりも、グローバル展開に合わせたサイズになっています。

本棚や洋服ダンスなどの収納家具において、特にサイズ感の違いが大きく出てくるのですが、高さ/幅ともに10cmほどIKEA家具のほうが国産メーカーのものよりも大きい商品が多く、部屋の間口や導線なども完成形のままでは通らないことが多々あり、引越業者さんを悩ませています。

東京インテリアの収納家具

IKEA BRIMNES衣類収納

構造の違い

IKEA家具と国産家具の構造面における大きな違いは、
国産メーカーの大型家具の場合は、「引越しを念頭においてユニット式構造で作られている商品が多い」ということです。
※ユニット型とは、大型家具を完成させていく工程の中でいくつもの小さな箱を先に造り、それを積み重ねて大きくしていく構造です。

例えば、東京インテリアの大型TV収納を見てみるとわかりやすいのですが、全体で壁一面を覆っている収納家具も細かくオプションとして追加していけるような構造となっています。
この構造であれば、複雑な転倒防止用の固定などがされていない場合、引越業者さんの手持ち工具でも解体することが可能になります

しかしながら衣類収納で1番売れているPAXワードローブシステムというシリーズがあるのですが、基本となる箱を組み合わせていくというところまでは同じ構造なのですが、基本となる箱の時点で間口から出ないサイズもあったり、スライド扉などもレールからすべてを一度取り外す必要があり、引越業者さんの取扱いレベルを超えてしまいます。

構造の違いによって起こる引越し問題

このようにグローバル基準で作られているIKEA家具、通常使用時にはそのサイズが収納力として威力を発揮するのですが、いざ【引越し】の場面では引越業者さんを悩ませることになります。

IKEA家具、引越業者に断られる問題

引越業者さんがIKEA家具を断る1番の理由としては【完成形で運べない】ということにつきます。
【完成形で運べない】ということが、様々に派生していき引越業者さんがIKEA家具を断る理由に繋がっていくのです。
ということは完成形でなければ、運べるサイズのパーツに分かれていれば引越業者さんにとって断る理由がなくなるのではないでしょうか?

パーツに分ける際に注意すべきこと

パーツに分ける際に注意しておきたいことは、見積もりに来た営業さんとのやり取りの中で【どの状態であれば運んでもらえるのか?】を確認することが重要になります。

何のことか?

例えばIKEA STUVAロフトベッドの運搬をお願いする場合、購入時の状態にまでパーツ解体しておく必要があるのか、机の引出部分や本棚部分など、ある程度箱の形で残しておけるパーツは半完成形で運んでもらえるのか?

また収納家具などでも、側板に取り付けているネジはすべて外しておいたほうが良いのか?

移動条件などによっても変わってくる部分(マンション内、部屋内移動orトラック使用の移動なのかなど)になりますので、細かく打合せをしておく必要があります。

その際、引越業者さんに対して組立説明書などがあれば見せながら説明したほうがお互いにイメージしやすいと思います。
大まかに打ちあわせると、引越業者さんは全て解体してねじも取っておいてくださいとなり、再組立時に非効率になってしまう事もありますので要注意です。

オプション作業として確立していない引越し時の組立家具施工というフォロー体制

引越業者さんは基本、相見積もり(数社からの見積もりによって決定する)になる競争の激しい業種ですので、次々と新たなサービスを導入して『こんなことも引越業者さんに一括で頼めるの?』といったオプション作業が増えています。
一昔前であればピアノやエアコンのみであったものが、引越し時にいらなくなった貴金属を買い取ってくれたり、入居前のフローリングのコーティングであったり盗聴器発見サービスなどまでやってくれる業者さんがあります。

しかし、全国どの引越業者さんでも積極的に【IKEA家具の解体/再組立】を導入しているところはありません。
今までにないものを、それもお金がかかるものを始めるとなると覚悟がいるものです。

IKEAが2006年に再上陸してから13年経ちます。

その間にIKEA家具ユーザーは年々増え続け、また日本では賃貸住まいの方の需要も多く、引越しの訪問見積もりでIKEA家具に接する引越業者の営業さんも多くいらっしゃると思われる中で、弊社のように独自で【IKEA家具の解体/再組立】を行う業者が増える土壌もありませんので、顧客満足を考える上でIKEA家具対策を引越業者さん側でも取り組んでいく必要が高まっていますし、対策を取ってほしいと思います。

これが1番難しいのですが、メーカーとして当然常に買い替えてもらわないと新たな需要が発生しないという経済の論理はありますが『引越し考えたらIKEA家具は買わんとこ』という声が少なくありません。

引越しを考えて購入を控える方と、引越しを機に家具を買い替える方の割合について、正確なデータが存在するわけではないのですが、選択肢も与えられずに、気に入って買った家具を新居へ持っていくことが出来ないという方が一定数いらっしゃって、カグッコシ!を探し出していただいていることは事実として存在します。

日本の企業でも新興企業などでは、自社の欠点を逆に大っぴらにすることで宣伝に繋がるという手法を取ったりすることがありますが、ここはIKEAさんに『ホントは引越しの時に新しい家具を買ってもらいたいのはやまやまなのですが、長く使っていただきたいのも本音ですので引越対応始めました!』くらいの勇気を持ってもらえれば、勝手ながら支持率の大幅なアップにつながりそうな気もします(ホントに都合のいい勝手な意見です)。

まとめ

IKEA家具の引越し問題、引越業者さんが悪い訳でもIKEAが悪い訳でも、当然ユーザーさんが悪い訳でもありません。
そしてユーザーさん無しでは、そもそも何も始まりません。
その核となるユーザーさんが困っているという現状がこのまま放置されることは得策ではないことは明らかで、カグッコシ!としてサポートし続けていくことが当然なのですが【引越時の対応】が問題になっている以上、やはり引越業者さんにもご協力いただく必要がありますし、その先にはメーカーさんにも何かの形でご協力いただけるようになることが、購入後のお客様への最大のアフターフォローになると考えています。

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